H5N1―強毒性新型インフルエンザウイルス日本上陸のシナリオ
岡田晴恵

定価: ¥ 1,680
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発売日: 2007-09-14
発売元: ダイヤモンド社
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日本はこの情報が伝わっていない
新型インフルエンザへの警鐘は数年前からされていた。2008年3月でも私の住む自治体では、オカルト扱いです。
対策ガイドラインすら無くウィルスの存在を知らない人ばかりです。
そういう自治体職員と話し絶望的な気持ちになります。
目次だけでも読んで欲しい
ウィルスと細菌の違い、社会の病気。
本書の著者は国立感染症研究所の研究者だというが、どうも感染症の研究ばかりしている為に、すべての病気(インフルエンザも含めて)は細菌によってもたらされるのだと勘違いしているのではかろうか?
どんな世界にも「専門バカ」と言われる手合いがいる。いわゆる他のことに知識なり知性が働かない連中だ。
近年、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)という細菌によって胃潰瘍などの発生につながることが報告されている。
が、胃の中(強酸性の環境)に細菌が生息できることが発見されただけであって、胃潰瘍や胃の病気のすべてがピロリ菌によって引き起こされていると言うわけではないのである。このあたりをいわゆる「風説の流布」によってピロリ菌が悪玉菌とされてはいるが、実は他の研究報告によると食道に対しては疾患の防御役を果たしているという。
これらの事からも推察されるように「研究報告」されたといっても世界の研究者によって客観的な再現性実験を行い発表内容が「正しいもの」と証明されたということではなく、異論がでたりすればそれはただ「学会で報告(発表)があった」と言うだけなのだ。
このことが、いつのまにか事実であるかのように語られるのが最も恐ろしい「社会の病気」でもある。
インフルエンザはウィルスによる疾患だ。細菌による疾患ではない為に抗生剤(細菌の繁殖を抑えるクスリ)の類いは一切効かない。しかもワクチンによる治療(予防接種も)も生の宿主からしか精製できないことも明らかな事実である。
インフルエンザ予防のワクチンが効くという触込みも実はあらかじめ流行を予想して精製していることから当たり外れが当然起こりうる。
インフルエンザにはA・B・C型とあり、C型のみが特殊で免疫が一生安定して保つ。B型、A型は幼児期を除く人に流行し人同士で感染する。予防接種をするならHA・NA(H5とかN1とかいうヤツがそれ)が安定しているB型が妥当だ。
A型については遺伝子が大きく変化することがよくありこの辺りが毎年の流行を生み「鳥インフルエンザ」の恐怖を煽る原因となっている。だからA型の場合予防接種はほとんど無意味ということになる。
ウィルスは宿主がいないと生きていけないとする、生物でもあり非生物でもある。(一般的に定義はできていない)
細菌は生物であるために単体でも生きていけ、人間に感染させるためには蒔くことも可能だ。これが生物兵器である。
新型インフルエンザがどんなに強力であろうと風に乗って人から人への感染があり得ない以上、劇症性があろうと対症療法で処置でき死者が続出するようなことにはならない。
ウィルスと細菌の違いをよく理解していない(または意図的に知らせない)とよけいな心配をしなくてはならず、要らないクスリで被害(副作用による死亡など)を被る事にもなりかねないのだ。
小説として
著者は厚労省管轄の研究所の現役研究者だそうだ。
エボラウイルスを題材にした「ホットゾーン」あたりを真似しているのだろう。あくまでも小説として読まれる事をお勧めする。
研究者の役割は、予想屋でも風説の流布でもないはずである。本書では実在の研究所と共に架空の人物を登場させてストーリーが展開する。そして新型インフルエンザによるカタストロフが起こるシミュレーションなるものを提示したいようだ。
もちろん新規感染症に対する準備は地球規模で必要であることは言うまでもなく、すでに多くの研究者がその対策に従事している。
結局のところ、この筆者は行政対応が悪い事だけを指摘したいのか?そのために最悪のシナリオを作り上げてご自身の研究活動を有利に進めたいのかと思ってしまいます。これは筆者が昨年出した同様な本「パンデミックフルー 新型インフルエンザ Xデー ハンドブック」でも同じ主張である。210万人の日本人が本感染症で死ぬらしい。
ちなみに本書では、新型インフルエンザに対する最新の研究内容は出てこないようです。少なくとも東大医科学研究所にはこの分野の世界的権威がいるわけですから、その方のご意見あたりも入れるのが筋だと思います。
そしてしっかりしたサイエンスライターに新型インフルエンザに関して一般向けに書いてもらいたいと思います。日本にも青山聖子さんや竹内薫という素晴らしいライターの方々がいるのですから。
恐怖をあおるだけの数字の一人歩きは個人にも社会にも何の役にも立たないと思います。
